入会してから一貫してエレガントなパンプスを製作されているIさんです。
というのも製作した靴を履いては履き心地を確認し次の靴に役立ているからです。
これまでは作業しやすい比較的柔らかめの革を使っていましたが、どうしても落ち着いたクラシカルな感じの「カチッとした」靴が欲しくなったそうです。
今回は表面が艶のある硬めのボックスカーフを使ってパンプス作りに挑戦しました。
艶々のボックスカーフで作ったフラットパンプス
今回はシンプルなプレーンパンプスを作りました。
装飾がないために革の色と艶が最大限に活かされるデザインとなっています。
教室屈指のイルチア社のボックスカーフを使ってのパンプス作り
使用した革はイルチア社 (ILCEA)セタニュール (BOX-CALF)のボックスカーフです。
表面に艶があり革自体にハリのあるカーフスキンです。
遠くから眺めても光の反射具合が美しくとても上品な革です。
特に見た目の美しさとは裏腹にパンプスの細いつま先に革を添わせていく作業は難易度が高くなります。
曲線の美しい細めのヒール
ヒールは細めのヒールを選びました。
直線的なチャンキーヒールよりも女性らしい曲線があり、柔らかい印象となります。
また、ヒールにも同じ革を使っていますが、カーブの曲線が急なため革を薄く漉いてヒールに密着できるように工夫いたしました。
どの工程にもいえる事ですが革を扱う作業は一回で仕上げなければならない作業が多いです。
ヒールに革を貼る作業も一度で革を貼りきらないといけません。
平面がほぼないヒールに革を貼っていく作業はあらかじめ手順やコツが掴めていないと、勇気のいる作業となります。
最後に講師の作業を参考に、Iさんも一回勝負に緊張しながら丁寧に貼っていきました。
赤と黒のコントラストが美しい底材です
靴底は表の革に負けないくらいピカピカで真っ赤な底材を使用しました。
さらにこの赤があるだけで、靴の印象がとても華やかなとなります。
特にプレーンパンプスはシンプルなデザインですし、色味も黒いと全体的に重厚な印象なりがちですが、目に入りやすい色を差し色で入れることで軽やかな印象となりました。
プレーンパンプスの完成おめでとうございます!
これまでもつま先や踵の釣り込みは経験経験していますし、硬めの革といっても大丈夫かと思っていたIさん。
ワニで革を引っ張った時点でこれは大変だと感じてしまったそうです。
そのため、つま先の釣り込みは何度も癖づけをして丁寧にした作業を行いました。
その甲斐あってつま先の形も綺麗に出ています。
完成おめでとうございます!